禁煙外来

つるみクリニックは、禁煙治療の施設基準を満たした医療機関(ニコチン依存症管理料算定医療機関)です。一定の条件を満たせば、健康保険等を使って禁煙治療ができます。

タバコに関連する病気

日本人は、能動喫煙によって約 13万人、受動喫煙によって約1 万 5 千人の年間死亡者が推計されています。

国内の調査では20歳よりも前に喫煙を始めると、男性は8年、女性は10年も短命になることが分かっています(Sakata R, et al. BMJ. 2012; 345: e7093.)。

喫煙に関連する病気は主にがん、たばこ肺(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患、虚血性心疾患、脳卒中などの循環器疾患、糖尿病などの生活習慣病、さらに歯周病があります。

タバコの煙の中には約4000種類の化学物質が含まれており、その中の70種類以上は発がん性物質が存在しています。中でも、ニコチン、タール、一酸化炭素が三大有害物質です。

ニコチン

ニコチンは、体内に吸収され、快感、満足感や多幸感を引き起こすドパミンを過剰に分泌させます。体内のニコチン濃度が低くなると、この快感、満足感や多幸感を求めてタバコを吸いたくなります。

このサイクルでニコチンに対する身体的依存症を引き起こします。

ニコチンは血管を収縮させて血流を悪くします。それが繰り返され動脈硬化や高血圧となり、心臓や血管に負担がかかることで虚血性心疾患、脳卒中などの致死的な病気の原因となります。

タール

タールは、タバコの”やに”の成分で、多くの発がん性物質を含んでいます。喫煙することで、血液中より発がん性物質体内に吸収されDNAを損傷することで、様々な”がん”を引き起こします。

喫煙と関連がある”がん”は,肺、口腔・咽頭,喉頭,鼻腔・副鼻腔,食道,胃,肝,膵,膀胱,子宮頸部のがんが科学的証拠を示されています。

一酸化炭素

一酸化炭素は、体中に酸素を運ぶ赤血球のヘモグロビンと結合する力が強く、体に取り込む酸素が低下し、酸素欠状態を引き起こします。極度な酸欠状態が、一酸化炭素中毒です。

頻繁に喫煙する人は、一酸化炭素の影響で慢性的な酸素欠乏状態となり、体中に酸素を運ぶ赤血球が増加しています。その結果、血管内に血栓ができやすく、動脈硬化を促進するといわれています。

禁煙治療

禁煙できないのは「意志が弱いからだ」と思い込んでいる人がいますが、禁煙できないのは、ニコチン依存症だからです。

喫煙すると、ニコチンが体内に吸収され、快感物質(ドーパミン)も放出されるため、「たばこでリラックスできる」と錯覚してしまっているのです。

「禁煙はつらくて苦しいもの」と思っているかもしれませんが、それは大きな間違いです。禁煙する本人の強い意志があり、一定の基準をみたしている場合、保険診療で比較的楽に、より確実に、しかも費用もあまりかけずに禁煙できます。

たばこをやめれば、健康になり、味覚や嗅覚もよくなるだけでなく、たばこを吸う場所を探す必要がなくなり、金銭的な余裕も生まれます。

禁煙治療の流れ

喫煙により血液中のニコチン濃度を補充する代わりに、ニコチネルTTSという貼り薬を使用して喫煙時より低いニコチン濃度を長時間維持し、禁煙の離脱症状を軽くして禁煙を目指します。

禁煙による離脱症状とは、たばこを吸いたいという欲求、いらいら感、集中力の低下などをいいます。

初診

ニコチン依存症のチェックと禁煙治療の保険対象かをチェックします。
以下の4項目がいずれもが該当する方が保険治療の対象となります。

  1. 直ちに禁煙しようと考えている。
  2. ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)でニコチン依存症と診断されている。
  3. ブリンクマン指数(1日の喫煙本数☓喫煙年数)が200以上
  4. 禁煙治療を受けることを文書により同意する。

禁煙治療が保険治療の場合、初診時に以下のことを行います。

  • 禁煙開始日を決定し禁煙宣言書に記入していただきます。
  • 呼気一酸化炭素濃度測定を行います。
  • 禁煙補助治療薬(ニコチネルTTS 30☓14日分)を処方します。
  • 禁煙開始日から禁煙補助治療薬(ニコチネルTTS 30)を開始することを確認します。
  • 次回、2週間後の再診日を決定します。
STEP
1

再診1(2週間後)

以下のことを確認します。

  • 2週間の経過と禁煙状況の確認をします。
  • ニコチン離脱症状の確認とその対策をアドバイスします。
  • 呼気一酸化炭素濃度測定を行います。
  • 次回再診までの禁煙補助治療薬(ニコチネルTTS 30☓14日分)を処方します。
  • 次回、2週間後の再診日を決定します。
STEP
2

再診2(4週間後)

以下のことを確認します。

  • 2週間の経過と禁煙状況、離脱症状の確認をします。
  • 禁煙継続に伴う体調の変化を確認します。
  • 呼気一酸化炭素濃度測定を行います。
  • 次回再診までの禁煙補助治療薬(ニコチネルTTS 20☓14日分、ニコチネルTTS 10☓14日分)を処方します。
  • 次回、4週間後の再診日を決定します。
STEP
3

再診3(8週間後)

以下のことを確認します。

  • 4週間の経過と禁煙状況、離脱症状の確認をします。
  • 呼気一酸化炭素濃度測定を行います。
  • 8週間経過すると禁煙が安定してきます。原則、禁煙補助治療薬は終了となります。
  • 終了が難しい場合は、禁煙補助治療薬(ニコチネルTTS 10)を処方します。
  • 次回、4週間後の最終再診日を決定します。
STEP
4

再診4(12週間後ー最終日)

以下のことを確認します。

  • 4週間の経過と禁煙状況、離脱症状の確認をします。
  • 禁煙継続に伴う体調の変化を確認します。
  • 呼気一酸化炭素濃度測定を行います。
  • 禁煙証明書をお渡しします。
STEP
5